甘い戦争屋



(新聞を読むヨシトモ)
(元子)   ヨシトモさん。ご飯ができましたよ。
(ヨシトモ)  ありがとう
(元子)   ほら、今日は松坂牛のステーキ。おいしいわよ。
(ヨシトモ)  あぁ。
(元子)   昔はこんなもの食べられなかったものね。あなたのおかげよ。
(ヨシトモ)  あぁ。
(元子)   感謝してるわ。これからも、もっと、もっと働いてね。応援してる。
(ヨシトモ)  あぁ。
(元子)   あなたみたいな人を夫にできて私はとても幸せ者よ。
(ヨシトモ) そりゃどうも
(元子)   ちょっと前までは、松坂牛なんて食べれると思っていなかった。こんな広い家に住めると思っていなかった。
(ヨシトモ) まぁな。
(元子)   買い物だって好きなだけできる。好きなだけお洒落して、好きなケーキ食べて、好きなだけお酒飲んで。そして、あなたという最高の夫がいる。
(ヨシトモ) …………
(元子)   こんなに幸せなことはないわ。そうは思わない?
(ヨシトモ) そっか。
(元子)   もう。ニュースばっかり見て!私の話も聞いてよ。

 
(北条)   先日××軍によって始まった〇〇への攻撃ですが、未だに終わりを見せません。現地ではゲリラ的に戦う部隊などがあり、依然抵抗を続けています。一般市民が犠牲になる場合などもでてきており、対策が急がれています。専門家の見解によりますと、長期化する可能性も、××がすぐに占領する可能性も、両方残っており、現状では見通しが立っていない様子です。世界各地で戦争は続いています。悲惨なことしか生まない戦争を、何故人々は延々続けるのでしょう? 歴史は何千年という単位で続いていますが、戦いがなかった時代というのはありません。戦争がない世界というのはないのでしょうか。では、次のニュースです。


(ヨシトモ) 僕はね、こういうニュースを見るの、辛いんだ。
(元子)   もう、あなたはこんなの見る必要はないの。私だけを見ればいい。私たちが幸せならいいじゃない。
(ヨシトモ) 君は好きだよ。でも、そんなことよく言っていられるね。
(元子)   あら、何がおかしいの?
(ヨシトモ) 不幸な、辛い現実を生きている人がいると知っていて、呑気に松坂牛なんか食っていられるか? 僕はとても申し訳なくなるんだ。
(元子)   あなたはあなたで精一杯生きている。発展途上国民には発展途上国民の、先進国民には先進国民の悩みがあるの。どっちが辛いなんて決められらないわ。
(ヨシトモ) でも。
(元子)  学校に行きたくて行けない人がいるからと言ったってね、彼らと私たちは次元が違う生活を送っているんだから。行きたくないって悩んだってなんにも後ろめたいことはないの。それと同じことよ。
(ヨシトモ) でも、人間的にはきっと彼らのほうが美しい。僕なんかが生きていることが申し訳なくなるんだよ。
(元子)  あなたは、本当に優しいのね。そんなあなたが、大好きよ。


(戦うズミーとケイ)
(ズミー)  この野郎……。調子のりやがって。
(ケイ)   どうやら作戦は失敗したようだな。
(ズミー)  な、仲間がどんどん……。仇を討ってやる! 覚悟しろよ。
(ケイ)   待て、もう無理だ。我々はこれ以上戦力を失うわけにはいかない。
(ズミー ) でも、このまま黙っていられますか
(ケイ)   反撃するのは今でなくてもいい。その気持ちを強く持っておけ。いいんだ、今は。生きろ。お前はまだ若い。
(ズミー)  俺は、そんなの嫌だ!
(ケイ)   おい、待て、ズミー。ただ死ぬだけだぞ!


(ズミー)  くそっ××め……勝手に侵略しやがって、俺たちはそんなのに屈しないぞ。いてて。
(メイ)   あ、ごめんなさい。怪我、大丈夫ですか?
(ズミー)  あぁ、まぁな。お蔭様でまた戦えそうだ。
(メイ)   また、戦うのですか
(ズミー)  あぁ。いくらでも戦うさ。君も知っているだろ? ××のことは。
(メイ)   まぁ。一応。
(ズミー)  突然侵略してきたんだ。俺らの国を、壊そうとしている。自分のものにしようとしている。ここは俺らの国なんだ。許すわけにはいかない。
(メイ)   あなたみたいに戦っている人を見ると、心が痛みます。ずっと、ここにいてくれてもいいのに。流石に市民には攻撃しないでしょう。
(ズミー)  君が心を痛める必要はない。本当に心を痛めるべきはあいつらなんだ。俺らをこんなにしているのに、あれで正義だなんだ言っているんだきっと。あいつらは。
(メイ)   でも
(ズミー)  それじゃあダメなんだ。俺らは屈してはいけない。屈したら負けなんだ。
(メイ)   負けるって、ダメなことですか?
(ズミー)  あぁ、ダメなことだ。人とは、大人とは、そういうものなのさ。
(メイ)   そうなんですか……。嫌なものですね。
(ズミー)  君はまだ子供だからね。俺みたいなのを匿うメリットはないんだから。俺らの勝利を祈りでもしててくれよ。行ってくる。
(メイ)   待って、ズミーさん。……。そんなんじゃ、根本的には解決しないのに。でも……。


(ヨシトモ) 旨いな、肉
(元子)    あら、料理を褒めてほしいわね。私が料理してこその松坂牛じゃなくって?
(ヨシトモ) 君の料理が美味しいのはいつものことだよ。
(元子)   あらやだヨシトモさんったら。照れるじゃない。
(ヨシトモ) (味わって肉を食べる)
(元子)   なんかいつも以上に味わっておいしそうに食べているのは気のせいかしら?
(ヨシトモ) 気のせいだよ。
(元子)    そうかしら。
(ヨシトモ) 肉ってさ、食ってるけど。元はさ、牛だろ。生きていた。
(元子)   なによいきなり
(ヨシトモ) 生きていたものを食べているんだよ。僕らは。
(元子)   殺されるために生きているんだからいいんじゃなくって?
(ヨシトモ) それでも、命は命だよ。


(ズミー)  うおおおぉおぉぉ。勝つんだ! 俺一人でも。腰抜けの隊長なんかに頼っていられない。奴らに負けるわけにもいかない。――よし、一人倒した。――はぁ、はぁ、はぁ、はっ(倒れ、何物かに助けられる)誰、だ? 俺は、まだ……


(ズミー)  ちきしょう。なんであいつらは強いんだ。仲間も、いっぱいやられちまった……。
(メイ)   勝ちたいですか?
(ズミー)  そりゃそうだ。あいつらを許すわけにはいかない。
(メイ)   どうしても、勝ちたいですか?
(ズミー)  あぁ、どうしてもだ。この国は俺たちのものなんだ。
(メイ)   わかりました。きっと、勝ちますよ。その願いがあれば。その想いがあれば。
(ズミー)  君には二度も助けられてしまった。そう言えば、東の国では「三度目の正直」という言葉があるそうだ。
(メイ)   へぇー。どういう意味なんですか?
(ズミー) 勝負では、一、二回目はあてにならない。三回目が本当だ、という意味だよ。
(メイ)   つまり?
(ズミー) メイの言う通り、きっと勝てる。ここに怪我して来てしまったのなんかあてにならないんだ。俺が次にここに来るときが、本来の姿だよ。
(メイ)   ズミーさん、若いから……。えぇ、期待しています。がんばってくださいね。
(ズミー) こうしちゃいられないね。隊長に現在の状況を聞いてこなきゃ。ありがとな、メイ。
(メイ)   ちょっと待って、ズミーさん。
(ズミー)  なんだい?
(メイ)   ズミーさん、もうここには来ないんですよね?
(ズミー)  いや、勝ったら報告しに来るよ。それを待っててよ。
(メイ)   待ちます。でも、勝負はそんなに早くつかないでしょう?
(ズミー)  まぁな。
(メイ)   ちょっとこっち来てください。
(ズミー)  あ、あぁ。
(メイ)  (ズミーの顔に顔を近づける)
(ズミー)  な、なにするんだよ
(メイ)    しばらく会えないの、ちょっと寂しいなって思ったんです。ダメでした?
(ズミー)  いや全然問題ないよ大丈夫ほんとに大丈夫だからむしろうれしいかななんて考えたりなんてねあははは何言ってるんだ俺
(メイ)   それはよかったです。
(ズミー)  行ってくるよ。また、会いにくる。勝利の報告と共にね。
(メイ)   その時は、ゆっくり話しましょう。ズミーさん。
(ズミー)  わかった。約束する。さよならは言わないよ。またね。メイ。
(メイ)   行ってらっしゃい。
(ズミー)  行ってきます。


(メイ)   ズミーさん……。約束、ですからね。忘れませんから。勝たなかったら、お仕置きです。だって、私が協力するんですから。


(元子)   命って言ったって……。死ぬべきモノたちにまで同情してたら、生きていけないわよ。
(ヨシトモ) この松坂牛は死んだけど、そのおかげで僕は生きていられる。
(元子)   そうよ。それでいいじゃない。結果として殺しているけど、あなたの血となり肉となり生き続けるわ。さらに言えば、生産者は私たちのような人がいないと生きていけないのよ。
(ヨシトモ) わかってるよ。わかってるけど。
(元子)   いいや、あなたはわかってないわ。どうせ、「所詮僕は松坂牛より汚い存在。いっそ僕を松坂牛が食べて生きていけばいいのに」とか考えてたんじゃない?
(ヨシトモ) そこまでは……
(元子)   じゃあだいたい当たっているのね。だからあなたは
(ヨシトモ) おかしいかな
(元子)   おかしいわ。
(ヨシトモ) なんでそんなの断言できるんだよ。牛より僕が高等なのか? 発展途上国民より優秀な存在なのか? のうのうと裕福に暮らすのが許されるのか?僕と〇〇の違いはなんなんだよ。そんなのないじゃないか。
(元子)   そんなこと考えていてはいけないわ。私たちがよければいいの。
(ヨシトモ) それって、エゴだよね。
(元子)   利己主義で何が悪いの。
(ヨシトモ) 周りが可哀想じゃないか。
(元子)   そんなの同情。哀れみでしかないわ。哀れみは憎しみを生むかもしれないわよ? だったら最初から利己主義的に生きればいい。それが結果的に人のためになるわ。
(ヨシトモ) そんなことってあるのかな。
(元子)   あるわよ。
(ヨシトモ) 例えば?
(元子)   あなたが自分のために生きてくれれば。存在してくれれば。私は幸せなの。あなたを恨む人がいるからと言ってあなたが死んだら、私はどうするの?
(ヨシトモ) 一人で生きていく……。いや、きっと僕よりいい人が見つかる。
(元子)  私はそんなの嫌だわ。あなたじゃなきゃダメなの。だから生きて。働いて。
(ヨシトモ) 僕だって、元子は好きさ。
(元子)   ならそれでいいわ。〜〜のため、というのが必要なら。私のため、元子のためと思って生きて。それがあなたの使命。
(ヨシトモ) 辛いね。
(元子)   生きるというのは、そういうことよ。
(ヨシトモ) ……生きているだけで、人は何をどれだけ殺しているのだろう。


(ケイ)  次の作戦は、必ず成功させるように。絶対だぞ。
(ズミー) はい、わかってます。
(ケイ)  我らの人員の八割を使った総攻撃だ。負けたら我々に後はない。
(ズミー) はい、隊長!
(ケイ)  ズミー、いい顔をしている。成長したな。
(ズミー) わかりますかね? 我々は様々なモノを背負っているんです。負けるわけにはいかない。
(ケイ)  そうだズミー。伊達に何度も勝手に抜け出して怪我したわけではないということか。
(ズミー) もうそのことはいいでしょう。隊長。
(ケイ)  本来は許されないことなのだぞ? その点わかってるんだろうな。わかってないならもう一度絞ってやるが。
(ズミー) いえいえいえ、それはもう充分承知ですよ。絞っても何もでないですから私などは。
(ケイ)  それだけ冗談が言えれば充分だろう。いいか、お前はもう戦力だ。戦いはこれで終わりではない。死ぬなよ。
(ズミー) わかってます。隊長。
(ケイ)  では行くか。皆のもの! 私に続けー!


(ケイ)  いけーっ。目標は正面にある。ただひたすらに進むんだ。
(ズミー) え、あれはなんですか隊長。こちらの服を着ているわけでもないし。敵でもないようですが。
(ケイ)  構うな! 目標はあそこだぞ。ひたすらに進むんだ。いけーっ


(ヨシトモ)本当に、この肉はおいしすぎだよ。たまにはいいかもしれないけど、毎日は食べられないね。
(元子)  あら、今のあなたの収入なら毎日食べられるのよ?
(ヨシトモ)無論、この肉でなくたって、食事をするだけで苦しいけどね。生きているだけで。
(元子)  またそんなこと言って。その話はさっき終わったでしょ。
(ヨシトモ)食べる度にきっと思うんだろうな。これからずっと。
(元子)  もう。本当にあなたは優しいんだから。
(ヨシトモ)そんな僕は嫌いかい。
(元子)  いいえ。何度言わせる気? 私はあなたのことが好きなの。どうしようもないくらいに。受け取ってくれるかしら。私の、気持ち。
(ヨシトモ)こんな僕でいいならね。
(元子)  (限りなくヨシトモに近付く)
(ヨシトモ)こうしてれば、一時的に利己的に生きられそうだよ。
(元子)  ふふふ。


(ズミー) ☆☆を占拠、か。勝った。勝ったんだ。勝ったよ。メイ。俺、やったよ。
(ケイ)  よくやったな、ズミー。いい活躍だった
(ズミー) いえ、それほどでもないですよ。
(ケイ)  お前は今後もっと、もっと活躍してくれよ。期待してる。
(ズミー) ありがとうございます。隊長。身に余る言葉です。
(ケイ)  しかしまぁ、予想以上に上手くいったな。例の作戦が。
(ズミー) 例の作戦?
(ケイ)  あぁ。この勝利は彼らのおかげだよ。
(ズミー) 彼ら?……隊長! これはなんですか! 市民の死体が。
(ケイ)  彼らが「人間の盾」だよ。
(ズミー) 人間の、盾?
(ケイ)   あぁ。いわゆる民間人というのは、戦闘に巻き込めないことは知っているな?
(ズミー) はい。……え、ってまさか。隊長!
(ケイ)  そうだ。我々は民間人の志願者を人間の盾として使用したんだ。この区域を作戦中に横断させた。
(ズミー) 相手の攻撃が鈍っていたのは……
(ケイ)  そうだ。彼らが通ったことにより混乱したのだろう。
(ズミー) 民間人を使って混乱した隙をついた攻撃して、占拠をするなんて。卑怯すぎませんか。隊長。
(ケイ)  ズミー。君はまだ若い。正々堂々というのもいいが、時に非情にならねば勝てなくなるんだ。
(ズミー) それじゃ……そんなんじゃ……××とやっていることはかわらないじゃないですか。突然卑怯に侵略してくるなんて。
(ケイ)  そう。同じことだよ。やってるのは。我らはもともとゲリラだ。ゲリラは奇襲して混乱することがメインの仕事だぞ。……先にやったのは、あっちだが。
(ズミー) それでも……やりきれないですよ。俺は。
(ケイ)しかし、市民の犠牲者がでない可能性にかけていたのだが、若干出てしまったか。申し訳ないな。
(ズミー) ……え。市民の犠牲者って他にもいるんですか?
(ケイ)  あぁ。残念ながら。小さい子もいたそうだ。悪いことをしてしまったよ。尊すぎる犠牲だ。
(ズミー) 小さい子? 小さい子……。小さい子! まさか!
(ケイ)  おい! ズミー! どこへ行く!
(ズミー) トイレですよ!


(ズミー) まさかな。まさか。そんなことはないよな。約束したもんな。悪い予感だよな。そう言ってくれよ。また笑ってくれよ。また俺を困らしてくれよ。会いたいよ。また。今なら言える。君のことが好きだから。ねぇ。いないよね。もういないよね。絶対いないよね。帰っていいよね。ここにはいないんだ。また会える。勝った、って報告しなきゃ。ははは。よかった……よっ(こける)
小さい死体だな。髪の毛が長い……。(顔を正面へ向ける)そんな。ひどいよ。勝ったのに。こんなのってないんじゃないの? こんなの……こんなの嫌だ! メイ、メイ、メイ、メイ、メイ、メイ、メイ!……あはは。ははははははは。あはははははははははは……………………


(北条) 先日〇〇でのゲリラ戦において、一般市民の志願者による人間の盾が使用されました。人間の盾とは文字通り人間を盾に使用することです。軍人やテロリスト以外への攻撃は出来ません。ゆえに、標的が鈍ったり攻撃できなかったりといったことが起きるのです。彼らは☆☆への総攻撃中に志願者を横断させ、××軍の標的を鈍らせたようです。その攻撃により〇〇の情勢はわからなくなってきました。××軍は、依然、引く気配を見せません。人間の盾を使用したことによる国際世論への影響は、現在のところ予測不明となっています。なお、作戦行動により、十二歳少女を含む数名の市民が死亡したと見られています。


(元子)  今日はワインを買ってきたの。飲みましょう。安かったわ。ざっと百万。
(ヨシトモ)このニュース見ても、酒に酔っていられるかい?
(元子)  あら、私たちはこのおかげで食べていけるのよ。戦争がなければ生きていけないの。死の商人とはよく言ったものよね。
(ヨシトモ)それが、辛いんだよ。このあと、戦いは長引く。激しくなる。
(元子)  いいことね。私たちは、戦うための道具を売っているんだもの、戦争はなければ、激しくなければ、商売あがったりよ。
(ヨシトモ)そうなれば、今以上に儲かるのは確実だよ。けど、それ以上に辛い光景が広がるに違いない。多くの血が流れるに違いない。
(元子)  いいの。気にしちゃだめ。しかたないことなのよ。全部。
(ヨシトモ)やっぱり、僕には向いてないよ。この仕事。わざと戦争を起こして、激しくして、長引かせて。やっているのは人殺しじゃないか。
(元子)  いいえ。違うわ。あなたは人を殺していない。仕事をしているだけ。実際、あなたほどの人はいないわ。この業界であなたを知らない人はいない。表舞台に立たなくても、知っている人は知っているわ。
(ヨシトモ)学校の勉強と同じだよ。得意なものが好きだとは限らない。
(元子)  例え嫌いであっても、あなたの手腕は絶対だわ。それを活かしたほうがいいに決まっている。
(ヨシトモ)それも君のためかい?
(元子)  私のため。そして、あなたのため。
(ヨシトモ)わかったよ。
(元子)  本当に?
(ヨシトモ)自信はないよ。でも、逃げたくなったときは君がいる。
(元子)  えぇ。いるわ。
(ヨシトモ)君がちゃんと叱ってくれる。僕が逃げたら君は一人。
(元子)  そう。その通り。
(ヨシトモ)だから、頑張るよ。自分のため。そして、君のため。
(元子)  ありがとう。好きよ。ヨシトモ。
(ヨシトモ)ワイン、血みたいだね。
(元子)  そうね。
(ヨシトモ)血を飲んで酔うなんて、ロマンがあるかもね。
(元子)  ふふふ。実際にやっていることじゃない。
(ヨシトモ)そうだね。では。僕と君が生きていること、彼らの尊く流れた血に、乾杯。



あとがき

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