姉さんと遊ぶ。
それは楽しいし安心感があるし、接することに喜びがある。
姉さんが気になってたんだ。ずっと。
姉さんを目の前にして、色々な衝動がわいてくる。
人種なんてものは、後々勝手に人間が作ったものです。黒人、白人、それらは皆同じ『ヒト科ヒト属ヒト』でありその他の生物の『種』とは異なり――そう『ヒト』は皆同じなのです。
ふと教師の言葉を思い出した。
俺も、知美も、小宮山さんも、クラスの野郎共も、姉も「ヒト」
ならば、世間的な、社会的な、倫理的なタブーなんてものは、いらない。信じない。必要ない。関係ない。
「姉さん」
考えたことを、そのまま口に出したくなっている。
子どもみたいに、はじめて理解した言葉を使いたがっている。
「俺、姉さんの言う通り、認めるよ。安い言葉は、それだけ必要なものなんだろうし、俺が使うのも問題ない。明後日で家から出て行くなんて、もう嫌だよ。せっかく久しぶりに会えたのに」
姉さんの目を見る。姉さんも逸らさない。
「俺は姉さんのことが」
少し息を吸う。初めてだけど、本心でこの言葉を伝えよう。
何でもない街の光が、眩しい。