見られたくないアニメ@S.ver



 青年にとって、手紙の出し主にとって、約束の時間。放課後の校舎裏。そこに、一組の男女が向かい合っている。
「先輩」
 そう切り出したのはは、初々しさの残る少女だった。
「好きです。付き合って……もらえませんか?」
「ごめん、無理だ。今までもこれからも、僕には好きな人がいるから」
その答えは素早いものだった。


 告白という行事を済まし、自宅、自室へ向かった。
 薄暗く埃が舞う部屋。モニターのスイッチをいれ、一つのディスクをいれる。
 象形文字のような、現代日本ではまず目にしないタイプの文字が記されていた。
 オープニングがないアニメが流れ始めた。
 青年と同一人物だとわかる少年が映っている。学校らしきところを制服で歩いている。
 少年が話していないときも、声が聞こえる。
 モノローグだった。
 やがて、少年は、一人のクラスメイトを見つけた。
 同時に声が聞こえる
「かわいい。近付きたい。きっと、僕はこの人のことが好きなんだ」
「たしかに、可愛い。俺も、今も、好きだ。ずっと、僕は彼女のことを想う。それが、僕だから。それがなくなったら、僕じゃなくなるかもしれない」
 少年と青年。同一人物の二人は同じ想いを共有していた。



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